Sauna Study

日本に存在する3種類のサウナ。その違いと歴史とは?

日本に存在する3種類のサウナ。その違いと歴史とは?


日本では、数年前から空前のサウナブームが続いています。健康やリラクゼーションを目的に、日々多くの人がサウナに通い、中には自宅にサウナを作り出す人も。
そんな日本には、複数種類のサウナが存在しています。なかでも代表的なサウナの種類は「ドライサウナ(乾式サウナ)」、「フィンランド式サウナ(ロウリュサウナ)」、「スチームサウナ/ミストサウナ(湿式サウナ)」の3つです。
温度や湿度だけでなく、それぞれの歴史にも独自のバックグラウンドがあり、どのサウナにも一味違った楽しみ方があります。
それでは、今回は、これら3種類のサウナの特徴と歴史を詳しく見ていきましょう!


1. ドライサウナ(乾式サウナ)

 

温度: 80~110℃
湿度: 約10%

ドライサウナは、日本で最もポピュラーかつ、伝統的なサウナです。主に温浴施設や銭湯、スポーツクラブなどに設置されており、高温かつ低湿度で、短時間に大量の汗をかくことができるのが特徴です。

日本におけるサウナの歴史としては、1964年の東京オリンピック時、フィンランドの選手団が選手村にサウナを持ち込んだことをきっかけに注目が集まり、広がり始めたとされています。当初よりロウリュなどの仕組みもありましたが、初期の頃には施設側や市民に正しい知識がなく、それゆえに火傷を負ってしまう事故もあったため、やがて廃れていきました。結果、ドライタイプのサウナが増えていくこととなり、戦後の高度経済成長期の健康ブームも追い風となって、銭湯文化とともに全国に浸透していったと考えられています。

ドライタイプのサウナは、赤外線ヒーターやサウナストーブで室温を上げ、乾燥した空気の中で身体を温める仕様になっています。高温環境の中で、短時間で効果的な発汗が期待できます。


2. フィンランド式サウナ(ロウリュサウナ)

温度: 70~90℃
湿度: 15~30%

次に、フィンランド式サウナについて。
近年、日本でも「ロウリュ」ブームが起こり、このタイプのサウナが急速に増えています。ロウリュとは、サウナストーンに水をかけて蒸気を発生させ、室内の湿度を上げて、体感温度を上昇させる方法。蒸気が体を包み込み、じんわりとした温かさが広がります。実際の温度がドライサウナより低い場合でも、より温かく感じ、リラックス効果が高まり、血行促進などの健康効果も期待されます。

フィンランド式サウナの起源は、紀元前3000年頃のフィンランドにまで遡ります。フィンランドでは、サウナは単なる入浴以上のもの。心身のリフレッシュだけでなく、家族や友人と一緒に楽しむコミュニケーションの場や、文化的な儀式としての役割も果たしてきました。また、その長い歴史の中で、ロウリュが中心的なスタイルとして定着し、今でも人々の日常生活に深く根ざしています。

しかし、日本に存在する「フィンランド式サウナ」は、本場のものとは全く違っているケースもあります。ドライサウナがスタンダードだった日本では、フィンランド本国のものより高温のサウナが好まれており、サウナ室内の室温が高いままロウリュをすることで、強い刺激を感じるほどの熱さを体中に浴びられるようなスタイルも人気があります。日本人の好みに合わせたアレンジによってそのような現象が起きており、「フィンランド風サウナ」と呼ばれることもあります。


3. 湿式サウナ(スチーム・ミストサウナ)

温度: 40~50℃
湿度: ほぼ100%

最後に紹介するのは、スチーム/ミストサウナです。蒸気やミストを利用して、室内の湿度をほぼ100%にまで高めるこのサウナは、肌や呼吸器に優しいため、子どもや高齢者にとっても利用しやすいのが特徴です。スチームサウナでは蒸気が、ミストサウナでは霧状の水が噴霧されるため、乾燥が苦手な方にも最適です。肌や髪を乾燥から守りつつ、リラックスできる効果があります。

日本においても、古来から「蒸し風呂」として、スチームサウナの原型が楽しまれてきました。元々、「風呂」という言葉のルーツ自体、蒸気浴を原点としているという節があります。江戸時代以降、徐々に蒸気浴の文化は温水浴、つまり今の入浴スタイルに移り変わっていきましたが、元々の蒸気浴文化がなくなるわけではなく、サウナブームの広がりに乗じて、再びスパ施設やリラクゼーション施設で多く取り入れられるようになっていきました。近年では家庭用の設備としても注目を集めています。


温度と湿度の違いがサウナ体験を変える


ドライサウナ、フィンランド式サウナ、スチーム/ミストサウナ、それぞれのサウナは異なる特徴と歴史を持ち、さまざまな楽しみ方ができます。サウナを選ぶ際に大切なのは、温度と湿度のバランスです。
高温低湿のドライサウナでは、身体を芯から温めてしっかりと汗をかくことができます。
一方、フィンランド式サウナのロウリュは、温度だけでなく湿度をコントロールし、より心地よい蒸気の中でリラックスできるのが魅力。
そしてスチーム/ミストサウナでは、肌や喉に優しく、低温でゆったりとしたリラクゼーションが楽しめます。

温度や湿度の違いを理解し、自分にぴったりのサウナ体験を見つけることが、究極のリラクゼーションへの近道です。日本では、ひとつの国にいながらにして、多彩なサウナ文化を体験できます。まさにサウナ好きにとっての楽園ですね。

文:本田恵理